最終更新日 2024年11月19日
卵子提供というのは、生殖医療の一環として行われるもので、女性の卵子を別の女性に提供することです。
もちろん提供する側からの視点で議論されることも良くありますが、生殖医療、不妊治療という枠組みの中では、むしろ提供される側の視点で議論されることの多い用語です。
卵子提供について
つまり、子供が欲しいにも関わらずなかなか子供を授からない女性が、別の女性から卵子の提供を受けて体外受精を行い、受精卵を自分の子宮内に戻して妊娠、出産に至ることを想定する、という一連の流れでの話になります。
当然ながら、これはその女性自身の卵子に問題があることが原因で妊娠しないと想定されるケースに限ります。
パートナーとなる男性の精子に問題があるにも関わらずこのような不妊治療を試みてもうまくいかないのは説明を要しないでしょう。
あるいは、例えば子宮に奇形があって妊娠の継続が困難という場合も同様です。
卵子提供には医学上のみならず倫理上、あるいは社会上で考えておかなければならない問題がいろいろあることは言うまでもありません。
参考→卵子提供 成功率
問題は医学以外の点が多い
まず医学の立場からすれば、今では既にパートナー間での体外受精は一定程度確立されており、それに提供された卵子の保存が加わるだけです。
これは別に難しいものではなく、その意味では十分に実施可能と言える治療です。
むしろ問題は医学以外の点が多いと言えるでしょう。
当たり前のことですが遺伝的な母親は出産した女性ではなく別に存在することになります。
一般的には卵子提供は匿名ですので、遺伝上の母親を特定するようなことはできません。
もし子供が卵子提供で生まれたという事実を知って遺伝上の母親を知りたいと思っても不可能なわけです。
卵子の提供数のほうが不足するという事態に陥る
一方で、特に自分自身にメリットもないのに卵子を提供するというのはその女性にとってハードルが高いことも事実です。
別に金銭的なメリットもない一方で、卵子を採取するにはそれなりの医学的、あるいは精神的な侵襲を伴うことになりますから、そのようなボランティア精神を持った人は決して多くありません。
その一方で不妊治療を望む女性は少なくありませんから、どうしても卵子の提供数のほうが不足するという事態に陥ります。
そのため、匿名の女性からの提供を待つのではなく、例えば姉妹など身近な女性から自発的に卵子提供を受けようとする試みもあります。
ただしこの場合は子供にとっての遺伝的母親が身近なところに現に存在することになり、家族関係がより複雑になりかねないという懸念もあります。