最終更新日 2024年11月19日
毎月コツコツと積み立てる積立投資は、着実に資産を増やすための有効な手段です。投資初心者の方にとっては、安定的に投資を続けられるメリットがあります。一方で、投資のプロでも、積立投資を活用して長期的な資産形成を図る人は少なくありません。
この記事では、積立投資の基本的な考え方から、投資先の選び方、リスク管理、積立額と期間の設定までを、わかりやすく解説します。これを読めば、あなたも積立投資のコツを掴んで、着実に資産を増やしていくことができるでしょう。
投資は、早く始めるほど有利だと言われます。例えば、20歳から毎月5万円を積み立て、年利5%で運用した場合、60歳までに約1億円の資産を築くことができます。一方、30歳から始めた場合は約5,000万円、40歳から始めた場合は約2,000万円にとどまります(モーニングスター社の試算による)。
つまり、若いうちから積立投資を始めることが、大きな資産を築くための鍵なのです。ただし、投資は元本割れのリスクもあります。自分のライフプランに合わせて、無理のない範囲で始めることが大切ですね。
コンテンツ
積立投資の基本
積立投資とは
積立投資とは、毎月一定額を投資信託や株式などに投資していく手法です。給与やボーナスから一定額を天引きして自動的に投資を行うことで、投資を習慣化することができます。
投資信託の場合、「投資信託定期買付サービス」などを利用することで、毎月決まった日に指定した金額が自動的に買付されるようになります。また、証券会社によっては、クレジットカードで積立投資ができるサービスもあります。
このように、積立投資は自動的に行われるため、投資を忘れてしまう心配がありません。また、買付のタイミングを意識する必要もないため、初心者でも取り組みやすい投資手法だと言えます。
積立投資のメリット
積立投資には以下のようなメリットがあります。
- 時間分散効果により、値動きの影響を平準化できる
- 少額から始められるので、無理なく投資を続けられる
- ドルコスト平均法により、平均取得単価を下げられる
時間分散効果とは、定期的に一定額を投資することで、投資タイミングのリスクを分散できる効果のことです。一時に大金を投資するのではなく、コツコツと積み立てることで、高値掴みのリスクを避けられます。
また、投資信託の多くは数万円から買付できるため、少額から始められるのもメリットです。給与の一部を積立に回すことで、無理なく投資を続けられます。
ドルコスト平均法は、決まった金額を定期的に投資することで、平均取得単価を引き下げる効果があります。相場が下がった時により多くの口数を買付できるためです。
長期投資の重要性
積立投資で資産を増やすためには、長期的な視点を持つことが重要です。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、10年、20年先を見据えて、コツコツと投資を続けていくことが大切です。
投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、「投資の成否を分けるのは、タイミングではなく時間だ」と述べています。長期的に投資を続ければ、複利の力で資産を大きく増やすことができるのです。
例えば、30歳から毎月5万円を積み立て、年利5%で運用した場合、60歳までに約5,000万円の資産を築くことができます。これが、毎月10万円の積立に増やせば、約1億円の資産形成が可能です(JPアセット証券株式会社の試算による)。
ただし、長期投資といっても、ずっと放置していいわけではありません。定期的に投資先の見直しを行い、必要に応じてリバランスを行うことが重要です。
投資先の選び方
分散投資の考え方
積立投資を行う際は、分散投資の考え方が重要です。一つの投資先に集中するのではなく、複数の資産クラスや銘柄に分散して投資することで、リスクを抑えることができます。
分散投資には、以下のような効果があります。
- 特定の資産クラスや銘柄のリスクを抑えられる
- 相関の低い資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを減らせる
- 投資先の値動きがプラスマイナス相殺され、安定的なリターンが期待できる
例えば、株式と債券、国内と海外、異なるセクターの銘柄などに分散して投資することで、バランスの取れたポートフォリオを作ることができます。
インデックスファンドの活用
投資初心者の方におすすめなのが、インデックスファンドへの投資です。インデックスファンドは、株価指数などの市場平均に連動するように運用されるファンドで、低コストで効率的な分散投資が可能です。
特に、以下のようなインデックスファンドは、長期の積立投資に適しています。
- 全世界株式インデックスファンド
- 全米株式インデックスファンド(S&P500)
- 日経平均インデックスファンド
- 新興国株式インデックスファンド
これらのファンドは、幅広い銘柄に投資されているため、個別銘柄のリスクが分散されています。また、長期的には、市場平均並みのリターンが期待できます。
一方で、アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自の判断で銘柄を選定し、市場平均を上回るリターンを目指すファンドです。優れたファンドもある一方、高コストなわりにパフォーマンスが伴わないファンドも少なくありません。
初心者の方は、まずインデックスファンドでコツコツと積み立てることから始めると良いでしょう。投資に慣れてきたら、一部をアクティブファンドに振り分けるのも一つの方法です。
手数料の比較
投資信託を選ぶ際は、手数料にも注目しましょう。手数料が高いと、せっかくのリターンが手数料で消えてしまいます。
投資信託の手数料には、以下のようなものがあります。
- 購入時手数料:ファンドを買う際にかかる手数料
- 信託報酬:ファンドの運用管理にかかる費用
- 信託財産留保額:ファンドを売却する際に控除される手数料
これらの手数料は、ファンドによって異なります。一般的に、アクティブファンドはインデックスファンドよりも高い手数料がかかる傾向があります。
手数料の目安は、以下の通りです。
ファンドの種類 | 購入時手数料 | 信託報酬(年率) |
---|---|---|
インデックスファンド | 0%~1% | 0.1%~0.5% |
アクティブファンド | 1%~3% | 1%~2% |
手数料は、長期の積立投資では大きな差になります。例えば、30年間毎月5万円を積み立てた場合、1%の手数料の差は、最終的な資産額で約500万円の差になるのです(モーニングスター社の試算による)。
低コストなインデックスファンドを中心に、手数料を比較しながら選ぶことが賢明だと言えます。
リスク管理
リスク許容度の把握
積立投資を始める前に、自分のリスク許容度を把握しておくことが重要です。リスク許容度とは、投資で損失が出た場合に、どの程度なら許容できるかを示す指標です。
リスク許容度は、以下のような要因によって異なります。
- 年齢や投資期間
- 収入や金融資産の状況
- 投資経験や知識
- 性格やメンタル面の強さ
例えば、若くて投資期間が長い人は、多少の損失は許容できるため、リスク許容度は高くなります。一方、定年間近で投資期間が短い人は、損失を取り返す時間がないため、リスク許容度は低くなります。
自分のリスク許容度を把握したら、それに合ったポートフォリオを組むことが大切です。リスク許容度が低い人は、債券の比率を高めに、株式の比率を低めにするのが基本です。
ポートフォリオのリバランス
一度作ったポートフォリオも、放置していては資産配分が崩れてしまいます。相場の変動により、特定の資産クラスの比率が高くなりすぎたり、低くなりすぎたりするためです。
ポートフォリオの資産配分が崩れると、リスクとリターンのバランスが狂ってしまいます。そこで重要になるのが、定期的なリバランス(再調整)です。
具体的には、以下のようなタイミングでリバランスを行います。
- 決まった時期(年1回など)に定期的に行う
- 資産配分が一定以上崩れた場合に行う
- ライフイベントなどでリスク許容度が変化した場合に行う
リバランスの方法としては、基本の資産配分に戻すように売買を行います。例えば、株式の比率が上がりすぎていれば株式を売って債券を買い、債券の比率が上がりすぎていれば債券を売って株式を買うような具合です。
ただし、リバランスには売買コストがかかります。頻繁に行いすぎるとコストが膨らんでしまうため、年1回程度の頻度で行うのが適当だと考えられます。
投資環境の変化への対応
長期の積立投資では、投資環境が大きく変化することもあります。例えば、以下のような場合です。
- 市場のトレンドが変化した場合
- 投資先の運用方針が変更された場合
- 税制や法規制が改正された場合
こうした変化が起きた際は、柔軟に対応することが求められます。必要に応じて、ポートフォリオの見直しや入れ替えを検討しましょう。
ただし、むやみに変更を加えるのは逆効果です。投資環境の変化を冷静に見極め、本当に必要な場合だけ対応するようにしましょう。
長期投資で大切なのは、環境の変化に臆することなく、自分の投資方針を貫くことです。時には損失が出ることもあるかもしれませんが、長い目で見れば、着実に資産を増やしていくことができるはずです。
積立額と期間の設定
無理のない積立額の決め方
積立投資を始める際は、まず無理のない積立額を決めることが大切です。生活費を切り詰めてまで投資に回すのは、長続きしません。
積立額の目安は、以下のように考えると良いでしょう。
- 手取り収入から生活費を引いた額(自由になるお金)を算出する
- 自由になるお金の20%~30%を投資に回す
- 残りは貯蓄や趣味、娯楽費にあてる
例えば、手取り収入が30万円で生活費が20万円の場合、自由になるお金は10万円です。この場合、2~3万円を投資に回すのが適当と言えます。
積立額は、収入や生活費の変化に合わせて見直すことも大切です。昇給で収入が増えれば積立額を増やし、反対に収入が減れば積立額を減らすのが賢明でしょう。
積立期間と複利効果
積立投資の醍醐味は、長期間積み立てることで複利の効果を得られることです。複利とは、元本に利子が加わって、その合計に対してさらに利子がつくことを指します。
例えば、年利5%だと仮定した場合、以下のような複利効果が働きます。
- 10年後:1.63倍
- 20年後:2.65倍
- 30年後:4.32倍
つまり、30年間積み立てれば、元本の4倍以上の資産を築くことができるのです。
ただし、複利の効果を最大限に得るには、長期間の積立が必要です。投資期間が短いと、複利の効果はさほど大きくありません。
一般的に、積立期間は「60歳-現在の年齢」を目安に考えると良いでしょう。例えば、30歳から始める場合は、30年間を目安に積み立てることになります。
ただし、60歳で積立をストップする必要はありません。余裕があれば、その後も継続して積み立てを行うことで、さらに大きな資産を築くことができます。
ライフイベントに合わせた見直し
長期の積立投資では、ライフイベントに合わせて積立額や投資先を見直すことも重要です。例えば、以下のようなタイミングです。
- 結婚や出産で生活費が増えた時
- 子供の教育費がかかるようになった時
- 住宅購入で多額の支出が発生した時
- 定年退職で収入が減った時
こうしたライフイベントが起きた際は、一時的に積立額を減らしたり、投資先を変更したりすることも検討しましょう。
例えば、子供の教育費がかかるようになったら、一時的に積立額を減らして教育費に回すのも一つの選択肢です。あるいは、定年退職後は、より安定的な投資先にシフトすることも考えられます。
大切なのは、ライフイベントに応じて柔軟に対応しつつも、長期的な視点を忘れないことです。一時的な変更はあっても、できるだけ長く積み立てを継続することが、大きな資産を築くための鍵となります。
まとめ
以上、積立投資で資産を増やすためのコツを解説してきました。ポイントをまとめると、以下の通りです。
- 長期的な視点を持ち、コツコツと積み立てを続けること
- 分散投資を心がけ、インデックスファンドを中心に投資先を選ぶこと
- 自分のリスク許容度を把握し、それに合ったポートフォリオを組むこと
- 定期的にリバランスを行い、ポートフォリオの資産配分を維持すること
- 無理のない積立額を設定し、ライフイベントに応じて柔軟に見直すこと
積立投資は、誰でも簡単に始められる投資手法です。今日から100円からでも始められます。
大切なのは、長期的な視点を持ち、コツコツと積み立てを続けることです。時には相場の変動で損失が出ることもあるかもしれません。しかし、長い目で見れば、必ず報われる時が来るはずです。
投資は早ければ早いほど有利です。今日から始めて、着実に資産を増やしていきましょう。